高普・陳浩基『暗黒密使』
闇黑密使 (博客來)
高普・陳浩基『暗黒密使』 (明日工作室、2009)
・高普「流浪漢的預言」
巡査の小森は、ストーカーの被害に遭っているとの訴えをある女から受ける。家に忍び込むまでに彼女に執着しているのは、一人のホームレスの男だった。逮捕された男は、彼女に「置いていかないでくれ」と叫んだ……
・陳浩基「物理學家的夢魘」
一人の男が、世界的に人気のゲームの主人公が自分とよく似た容貌であることを知る。彼は現在進める事業を中止しろとのメールを受け取るが、差出人の名前はゲームの主人公のものになっていた。彼は周囲の人間に犯人がいると疑い、メールの主を探そうとするが。
第七回台湾推理作家協会賞で最終候補に残った(陳浩基はそのまま受賞)二人が、ゆるい繋がりのある短篇(中篇)を一つづつ持ち寄った一冊。巻末の座談会では寵物先生が聞き役を務めており、彼ものちに陳浩基と共作を出版することになる。二つの短篇は、ジャンルとしてはどちらもSFとミステリの重なったところに位置する(陳浩基のジャンル横断は言うまでもないが、高普の協会賞入選作「西巴斯貝之戀」もSFミステリといってよい作品だった)。ストーリーはほぼ独立しているが互いに関連があり、作者たちも合作であることを強調している。
高普作品は頁が進んでも焦点になるものがなかなか見えてこず、最後に至って像を結ぶ。対して陳浩基の作品はフーダニットに目標を絞ってサスペンスを高めていくが、ミソは犯人が判明したところから結論が急にスライドする展開で、高普作品同様限られた分量で的確にビジョンを見せる手腕が光る。3 1/2
高普・陳浩基『暗黒密使』 (明日工作室、2009)
・高普「流浪漢的預言」
巡査の小森は、ストーカーの被害に遭っているとの訴えをある女から受ける。家に忍び込むまでに彼女に執着しているのは、一人のホームレスの男だった。逮捕された男は、彼女に「置いていかないでくれ」と叫んだ……
・陳浩基「物理學家的夢魘」
一人の男が、世界的に人気のゲームの主人公が自分とよく似た容貌であることを知る。彼は現在進める事業を中止しろとのメールを受け取るが、差出人の名前はゲームの主人公のものになっていた。彼は周囲の人間に犯人がいると疑い、メールの主を探そうとするが。
第七回台湾推理作家協会賞で最終候補に残った(陳浩基はそのまま受賞)二人が、ゆるい繋がりのある短篇(中篇)を一つづつ持ち寄った一冊。巻末の座談会では寵物先生が聞き役を務めており、彼ものちに陳浩基と共作を出版することになる。二つの短篇は、ジャンルとしてはどちらもSFとミステリの重なったところに位置する(陳浩基のジャンル横断は言うまでもないが、高普の協会賞入選作「西巴斯貝之戀」もSFミステリといってよい作品だった)。ストーリーはほぼ独立しているが互いに関連があり、作者たちも合作であることを強調している。
高普作品は頁が進んでも焦点になるものがなかなか見えてこず、最後に至って像を結ぶ。対して陳浩基の作品はフーダニットに目標を絞ってサスペンスを高めていくが、ミソは犯人が判明したところから結論が急にスライドする展開で、高普作品同様限られた分量で的確にビジョンを見せる手腕が光る。3 1/2
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