陳嘉振『矮霊祭殺人事件』
矮靈祭殺人事件 (三民網路書店)
陳嘉振『矮靈祭殺人事件』(新苗文化、2009)
賽夏(サイシャット)族の旧家である苑家では、当主の双子の弟が数十年ぶりの帰還を果たす。折しも当主の苑俊亮は、部族の伝統を観光資源に換えようと事業の展開を始めていた。
十年に一度開かれる伝統の矮靈祭が、長老の反対を押し切り規模を拡大して挙行されたそのとき、密室となった祭殿で苑俊亮とその弟が殺されているのが発見される。凶器となったのは奇妙な謂れを持つ「蛇腸剣」で、禁忌を破った報いではないかとの噂が流れ始めていた。
台湾的な推理小説の創作を試みる作者による、正面から横溝正史の換骨奪胎に挑んだ作品。 中心となる事件の調査は密室状況とそのトリックが中心にあるものの、そこを囲む状況の変転やサブプロットが充実していてかなり盛りだくさんな印象。その割に作品全体としてエクストリームな感じはなく、各要素を丁寧な筆致で整然と捌いていくあたりには熱気よりも落ち着きを感じる。堅実な作りで確実に満足感を与えてくれる作品になっていると思う。4
陳嘉振『矮靈祭殺人事件』(新苗文化、2009)
賽夏(サイシャット)族の旧家である苑家では、当主の双子の弟が数十年ぶりの帰還を果たす。折しも当主の苑俊亮は、部族の伝統を観光資源に換えようと事業の展開を始めていた。
十年に一度開かれる伝統の矮靈祭が、長老の反対を押し切り規模を拡大して挙行されたそのとき、密室となった祭殿で苑俊亮とその弟が殺されているのが発見される。凶器となったのは奇妙な謂れを持つ「蛇腸剣」で、禁忌を破った報いではないかとの噂が流れ始めていた。
台湾的な推理小説の創作を試みる作者による、正面から横溝正史の換骨奪胎に挑んだ作品。 中心となる事件の調査は密室状況とそのトリックが中心にあるものの、そこを囲む状況の変転やサブプロットが充実していてかなり盛りだくさんな印象。その割に作品全体としてエクストリームな感じはなく、各要素を丁寧な筆致で整然と捌いていくあたりには熱気よりも落ち着きを感じる。堅実な作りで確実に満足感を与えてくれる作品になっていると思う。4
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