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翻訳出版情報

胡傑『ぼくは漫画大王』(文藝春秋、2016) 第三回島田荘司推理小説賞受賞作
ぼくは漫画大王 - 文藝春秋BOOKS(各ネット書店・電子書籍ストアへのリンクあり)
訳者自身による新刊紹介 - 胡傑『ぼくは漫画大王』(執筆者・稲村文吾) (「翻訳ミステリー大賞シンジケート」ブログに寄稿)

文善『逆向誘拐』(文藝春秋、2017) 第三回島田荘司推理小説賞受賞作
逆向誘拐 - 文藝春秋BOOKS(各ネット書店・電子書籍ストアへのリンクあり)

陳浩基「青髭公の密室」(『オール讀物』2018年8月号、文藝春秋) 第七回台湾推理作家協会賞受賞作
オール讀物 8月号 - 文藝春秋(各ネット書店へのリンクあり)

陸秋槎『元年春之祭』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2018)
元年春之祭 - ハヤカワ・オンライン
訳者自身による新刊紹介 - 陸秋槎『元年春之祭』(執筆者・稲村文吾) (「翻訳ミステリー大賞シンジケート」ブログに寄稿)

陳浩基「藍(あお)を見つめる藍(あお)」
陸秋槎「1797年のザナドゥ」(ともに『ミステリマガジン』2019年3月号、早川書房)
ミステリマガジン2019年3月号 - ハヤカワ・オンライン

陳浩基『ディオゲネス変奏曲』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2019)
ディオゲネス変奏曲 - ハヤカワ・オンライン
本格・推理・恐怖・奇想・密室……陳浩基の最新作登場! 『ディオゲネス変奏曲』訳者あとがき(稲村文吾) (早川書房公式note)

陸秋槎「色のない緑」(『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』早川書房、2019)
アステリズムに花束を - ハヤカワ・オンライン

宝樹「だれもがチャールズを愛していた」(『S-Fマガジン』2019年8月号、早川書房)
S-Fマガジン2019年8月号 - ハヤカワ・オンライン

雷鈞『黄』(文藝春秋、2019) 第四回島田荘司推理小説賞受賞作
黄 - 文藝春秋BOOKS(各ネット書店・電子書籍ストアへのリンクあり)

陸秋槎『雪が白いとき、またそのときに限り』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2019)
雪が白いとき、かつそのときに限り - ハヤカワ・オンライン

――『現代中国・台湾ミステリビギナーズガイドブック』シリーズへの寄稿――

風狂奇談倶楽部さんの同人誌に短篇の翻訳を掲載してもらっています。
Publications - 風狂奇談倶楽部公式 Web
●羅修「Wの喜劇」
現代中国・台湾ミステリビギナーズガイドブック 印刷特別増補版 (東方書店通販ページ)
●陸秋槎「冬の喜劇」
現代華文ミステリ☆ワールド 現代中国・台湾ミステリビギナーズガイド3 (東方書店通販ページ)
●凌小霊「星の悲劇」
『Oriental Mystery Tour 華日大学ミス研競演』(2019)

↓ 『現代華文推理系列』シリーズについては追記に



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周浩暉「生死翡翠湖」

周浩晖「生死翡翠湖」 (2009?)

殺人事件発生の報を受けた刑事の羅飛は、現場となったリゾート地へ急行する。殺された遊び人の男は、妻の不審死によって巨額の遺産を手に入れたばかりで、生前の彼女から相談を受けていた容疑者は、現場から行方をくらましていた。

第五回全国偵探小説大賽最優秀中篇賞受賞作(最優秀短篇賞は水天一色「おれみたいな奴が」)。長篇にあったような派手な展開(事件の進行にも、真相開示にも)はないが、二転三転する捜査にぴしりと決まった台詞回しを配して危なげなく仕上げた一篇。 4

高普・陳浩基『暗黒密使』

闇黑密使 (博客來)

高普・陳浩基『暗黒密使』 (明日工作室、2009)

高普「流浪漢的預言」
巡査の小森は、ストーカーの被害に遭っているとの訴えをある女から受ける。家に忍び込むまでに彼女に執着しているのは、一人のホームレスの男だった。逮捕された男は、彼女に「置いていかないでくれ」と叫んだ……

・陳浩基「物理學家的夢魘」
一人の男が、世界的に人気のゲームの主人公が自分とよく似た容貌であることを知る。彼は現在進める事業を中止しろとのメールを受け取るが、差出人の名前はゲームの主人公のものになっていた。彼は周囲の人間に犯人がいると疑い、メールの主を探そうとするが。

第七回台湾推理作家協会賞で最終候補に残った(陳浩基はそのまま受賞)二人が、ゆるい繋がりのある短篇(中篇)を一つづつ持ち寄った一冊。巻末の座談会では寵物先生が聞き役を務めており、彼ものちに陳浩基と共作を出版することになる。二つの短篇は、ジャンルとしてはどちらもSFとミステリの重なったところに位置する(陳浩基のジャンル横断は言うまでもないが、高普の協会賞入選作「西巴斯貝之戀」もSFミステリといってよい作品だった)。ストーリーはほぼ独立しているが互いに関連があり、作者たちも合作であることを強調している。
高普作品は頁が進んでも焦点になるものがなかなか見えてこず、最後に至って像を結ぶ。対して陳浩基の作品はフーダニットに目標を絞ってサスペンスを高めていくが、ミソは犯人が判明したところから結論が急にスライドする展開で、高普作品同様限られた分量で的確にビジョンを見せる手腕が光る。3 1/2

陸燁華『今夜宜有彩虹』

今夜宜有彩虹 (豆瓣)

陆烨华『今夜宜有彩虹』(今夜、虹出づるによろし) (新星出版社、2017)

あてもなく街をさまよう「おれ」は、川に身を投げる男を目撃し、彼が残した持ち物を手がかりに家を漁ろうとする――小さな喫茶店で働く沈冰月は、赵と名乗る怪しげな客に翻弄されるが、彼の一言で状況は一変する。

独自のユーモア本格を追究する(ということでいいのだろうか)作者の初長篇。シチュエーションが喜劇的に展開していく男パートだったり、会話のユーモアを中心に展開する喫茶店パートだったり、二つのパートに共通する形式上の段取りの"はずし"だったりと、手数多く笑いを引き出していく姿勢。
同時に、謎解きの展開はガチガチとまではいかないが色々な切り口でしっかりした立て付けがされているし、シリアスや泣かせの場面もある。ただ手広い要素を盛りこみすぎた感じもあって、テンションの断層に今ひとつついていけないのはやや難……がもしかしてそれもギャグの一環か。4

訳しづらいタイトルである。東川篤哉『交換殺人には向かない夜』をもじっているらしいが、そのまま当てはめても語呂が悪いし、章題と合わせると明らかに占いを意識している文だし……

陳浩基『倖存者』

倖存者 (博客來)

陳浩基『倖存者』(生存者) (明日工作室、2011)

香港の学生、阿杰は、旅行で台湾を訪れる。しかし、チェックインしたホテルを出て目にしたのは、つい今までいた場所とは似ても似つかない荒れ果てた異界を、全身を白い粘液で覆われた三本指の怪物が徘徊している光景だった。

陳浩基の初単著となる短めの長篇。出版元の明日工作室は当時、台湾推理作家協会賞の入選作や協会員の作品を "口袋書"(屋台やコンビニなどを中心に売られるA6判の本)として継続的に刊行していて、この作品もその一つとして、「主題館」というレーベルから出版された。惹句や表紙は明確にホラーを志向しているが、作者自身は本作を、ホラー("靈異小說")とSFとミステリ全ての要素を持っている作品、と説明している。グロテスクさや全体的なジャンル感のバランスは小林泰三あたりの作品を思い出させるものの、ユーモアや遊びはなくストレートな筆致でまとめている。
終盤で明かされる事実はある種見慣れた発想に基づくものだが、異変が解体されていくことにより聞き手を別種の恐怖へと追い込んでいくような説得の巧みさ、またそれを支える材料を物語へ手際よく仕込んでいた周到さには、作者のエンターテインメントをまとめ上げる素質を十分に伺うことができる。3 1/2
プロフィール

稲村文吾

Author:稲村文吾
中国語で書かれたミステリを読んでいく日々。
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